地域特性を把握した患者さまとの
コミュニケーション強化と、薬剤師としての
専門スキル向上、後進の育成
石野 康幸
取締役(兼)業務部長/大洗店 薬局長2005年入社 茨城県日立市出身
趣味・オフの過ごし方
オフには釣りをして、釣った魚を自分でさばいて料理をしています。
「テニス部あります」が運命の出会い?
「薬剤師という仕事との出会い」は、そんな劇的なことはないです。
高校時代は理系の科目が得意で、特に数学と化学が好きでした。大学受験で有利な学部は何だろうと探していたら……ちょうどよかったのが、薬学部だったというわけです。
北海道の大学の薬学部に進学すると、親が薬剤師だったり医療関係者だったりというきっかけで入学した仲間が結構いましたね。自分の意志で入ってくるのは1割くらいで、私はその中の1人でした。
化学が好きだったので、薬学部の授業は楽しかったです。北海道が魅力的な土地だったこともあり、オフの日の遊びも充実していたので勉強もがんばろうという気持ちになれました。北海道じゃなかったら、国試合格までたどり着かなかったかもしれません。
大学院に進んで専門知識を深めた後、就職で茨城に戻ってきました。「戻ってくるなら大学院に行っていい」という親との約束を守った形です。近くにいてほしかったのでしょうね。
卒業後は実家の近くにある薬局に勤めていたのですが、3年勤務して転職先を探し始めました。
条件としては、第一は「社長が薬剤師であること」。第二は大型店・大企業だと決まったことしかやれず、面白さに欠けるのではと思い『中小規模のところ」。この2つの条件で探した所、ベルクラン薬学社の礎となった有限会社おりーぶを見つけたんです。
決定的だったのは、サイトの募集情報に「テニス部あります」と書いてあったことです。当時職場のテニス部に属していて、学生時代からずっとテニスをやっていたので「テニス部があるなら、じゃあ行こう」って面接を受けに行きました。
私たちの社長は、薬剤師は薬だけ相手にしていてはいけないと十分わかっているし、ちゃんと「患者さまにとって利益のある事、薬の効果が明確な根拠があるものを選べ」と言ってくれる人です。今振り返ると運命の出会いだったと感じています。即決して、他社は受けていませんからね。
地域密着のために、患者さまと地道に良い関係性を築いていく
地域密着は会社の経営方針ですが、大洗店は最も色濃くその特徴がある代表的店舗になっています。
私は店舗立ち上げから15年ずっと在籍していますが、オープンしたばかりの頃は患者さまが最初から壁をつくって接してくるんですよ。慣れるまではなかなか自分のことを話してもらえませんでした。患者さまからすると、薬剤師って堅苦しいイメージがあるでしょう? だからこそできる限り患者さまの目線で接するよう心がけています。患者さまが壁をつくっているのにこっちも堅苦しかったら、壁が二重に高くなってしまう。もちろん初来店の患者さまには様子を見ながらコミュニケーションを取るようにしています。
まずは患者さまの顔と名前を覚え、自分の名前も覚えてもらう、そして会話ができる距離感を地道につくっていく。そうしないと私たちは的確な情報を得られないですし、患者さまも楽しくないでしょうしね。患者さまは病気で来るわけですから、辛いところを少しでも良くしてあげたいと思っているんです。
薬剤師だけでなく、事務員・登録販売者のスタッフにも薬局の顔として患者さまと良いコミュニケーションを築いていけるよう、明るい挨拶・声掛けを積極的に行うよう指導しています。
こうした努力は、大洗店で注力している在宅訪問の下地にもなっています。他人のお宅に上がらせていただくわけですから、あらかじめ信頼関係を築いておかなければなりません。
在宅訪問については、隣接する在宅療養支援診療所、地域の訪問看護ステーションやケアマネジャーとの連携で展開しています。施設訪問は2か所担当し、各30〜50件程度という患者数となります。お互いの連絡も円滑で、風通しのいい多職種連携が構築できています。隣接する医院の先生を始め、関係者と密にコミュニケーションをとってきた結果だと思います。
キャリアアップの支援と薬剤師の定着を目指して
薬剤師の仕事では、患者さまとの良い関係性をつくるための話法、コミュニケーション力は重要です。一方で、患者さまへの説明は、しっかりとした化学的知見に基づくものでなければなりません。薬剤師としてのテクニカルな役割が問われる領域です。
さらに高度な専門スキルを持った薬剤師は、患者さまはもちろん医師・看護師などからもより高い信頼を獲得することになります。
私たちが薬剤師のキャリア/スキルアップを支援する目的は、この考えからです。
各々が専門分野のエキスパートになることで、患者さまに対してより高度なサービスを提供できる。例えば、循環器専門医のいる医療機関の門前薬局の薬剤師が「心不全療養指導士」の資格を取ったら、より高いレベルで活躍できるでしょうし、うちの大洗店であれば「在宅療養支援認定薬剤師」「地域薬学ケア専門薬剤師」などの資格は強力な武器になるでしょう。
資格取得は強制ではありませんが、どんどん資格を取得して、基本給も上がって、エリアマネージャーになって、役員になって、というように明確なキャリアプランを描ける薬剤師にはできる限りの支援環境を作っていきたいと、経営側の立場から考えています。
薬剤師が1店舗に定着して働ける環境も重要ですね。
地域密着の薬剤師は、同じ店舗で長く働いていないと意味がない。たびたび転勤で変わられたら、患者さまだって嫌だろうし本人も大変でしょう。管理薬剤師/副管理薬剤師の責任ある常勤薬剤師が各店舗に2名いると患者さまの不安も払拭できますし、店舗の運営的にも理想かなと考えています。
基本に立ち帰れば私たち個々の薬剤師も、調剤薬局としての会社も「患者さまあって」のものです。本当は「患者さまとして薬局に来る前の段階で、病気予防として相談・指導してあげたい」というのも私たちの正直な気持ちです。
各店舗が地域の相談薬局として、何か不安があったら相談に来てもらえる場となり、その地域特性にあった対応ができ、かつ高度な専門性を持って薬局を運営していければ、健康サポート薬局・地域連携薬局としての役割が果たせるのかな、と思います。
当社の企業理念である「いつも、あなたのそばに。」を正に具現化したスタイルになると信じています。
薬局長・業務部長・役員としての展望
私たちに求められているのは「薬を渡す」ということだけではありません。
極端な話、「注意書きをちゃんと読んでください」と伝えて、その患者さまが間違いなく読んで理解できるようであれば、渡すという仕事は誰にでもできます。
私たち薬剤師は、患者さまが服薬後に異変が起きていないか気を配ったり、何か体調変化があったなら医師にその状況・原因を報告したり、患者さまが適切に行動できるように指導することが重要な仕事だと思うんです。服薬後のフォローという仕事ですね。こうした患者の個別フォローを、今はSNS、スマホアプリを使ってやっていますが、さらにより良い方法がないか常に模索しています。
服薬後フォローのやり方に限らず、店舗をより良くするためには一人ひとりが同じ方向を向いてくれないとダメだし、会社をより良くするためには会社全体もみんなでひとつになっていかないといけないと思っています。薬局長・業務部長・役員として、みんなでちゃんと助け合っていけるような労働環境をつくっていきたいと思っています。
未来の仲間たちへメッセージ
薬局の現場業務だけに留まらず、会社の経営視点から店舗運営をしていきたいという気持ちがある薬剤師に来てほしいと思っています。
各店舗のreport toは直接社長になっています。トップに提案、提言をすることができる風通しの良い会社ですよ。
これは患者さまとコミュニケーションできるエリアを拡大することにも繋がりますが、社長を支えて会社をより成長させ、出店エリアを拡大していける人材がほしいですね。こうした意欲ある人材を支え、スキルアップを図れる体制は用意していますから。