
病院薬剤師から調剤薬局の薬剤師へ─
循環器分野での経験と専門性を活かして
山谷 武司
大洗店 薬剤師
趣味・オフの過ごし方
クラシック音楽好きなので、オフの日はクラシック聴きながらのんびりと気分転換を図る事が多いですね。
臨床への興味から病院薬剤師へ転身
高校時代は特に化学が好きで大学受験では薬学部を選びました。千葉大学大学院卒業後は、創薬を希望して製薬企業に入社し、研究開発部門で10数年キャリアを積みました。
私が最初に勤務した大学病院では、新人薬剤師に各自テーマが割り振られ、病棟担当薬剤師や医薬品情報室担当薬剤師を前に、病態や薬物治療について講義する研修がありました。
私には「高血圧と虚血性心疾患」「ネフローゼ症候群」「脳血管障害」の3つのテーマが与えられ、高血圧について調べている中で、現在も九州大学の循環器で続けられている「久山町研究」を知りました。これがきっかけとなり、後に循環器学会「心不全療養指導士」の資格取得へと繋がっていきます。
最初は高血圧の研究から入りました。当時、欧米ではALL HATという大規模臨床研究が行われており、この研究結果は各国の高血圧ガイドラインで「心血管病リスクの低減は、降圧度に依存し、治療薬の種類には左右されない」という記載の根拠となっていました。このことから高血圧の奥深さと面白さを感じ、徐々に循環器領域への興味が広がっていきました。
循環器疾患は、がんとは異なり、血圧・脂質・血糖の管理によって発症リスクを下げられることが大規模臨床研究で明らかになっており、薬剤師が関与できる余地が大きいことも、私が循環器分野に興味を持った理由の一つです。
また循環器病棟やSCU(脳卒中ケアユニット)で働く中で、がんや感染症には専門薬剤師の制度があるのに、循環器分野には該当する制度がないことに不満を感じていました。
そんな中、高血圧学会と循環器病予防学会が共同で「高血圧・循環器病予防療養指導士(現 循環器病予防療養指導士)」の制度を開設することを知り、すぐに高血圧学会に入会して第1回目の試験を受験し、合格することができました。
現在では動脈硬化学会も認定制度の運営に参加し、3学会共同の認定制度となったため、試験用のテキストも用意されています。しかし第1回目の試験の時にはそのような資料はなく、ひたすらガイドラインを読み、学会が参考図書として挙げた保健指導の本を購入して勉強していたことを、今でも大変な記憶として覚えています。
病院薬剤師から調剤薬局へ転身
循環器病棟では心不全の患者さんも多く、退院後しばらくして再入院するケースが少なくありません。なかには退院後1週間で再入院される患者さんもおり、歯がゆい思いをしていました。心不全は入退院を繰り返すことで徐々に悪化し、最終的には命に関わることもあるため、再入院を防ぐことが非常に重要です。しかし、これは病院だけの努力では達成が難しく、退院後のサポートが必要となります。
ちょうどその頃、新たに制定された法律により、各都道府県では脳卒中・循環器病の予防に関する基本対策計画の策定が義務づけられました。茨城県でも筑波大学に「脳卒中・心臓病等支援センター」が設立され、計画の一環として心不全地域連携パスが作成されました。その普及を目的に、年に数回「心不全地域連携カンファレンス」が開催されており、現在では私もトップの了承を得て参加しています。
心不全療養指導士 資格の取得へ
この法律の施行とほぼ同時に、循環器学会では「心不全療養指導士」の制度が開始されました。心不全が対象となるため、薬局勤務者にとって取得のハードルは高い資格ですが、私は何とか合格することができました。
「循環器病予防療養指導士」も「心不全療養指導士」も、運営は医師が中心の学会によって行われています。そのため資格を取得することは、医師の学会がお墨付きを与える形で、この疾患領域における療養指導をサポートする十分な知識と技術を備えていることを証明するものです。これにより、患者さんへの指導にもより説得力が増すと考えています。
会社のバックアップを受けて学会へ継続参加
認定資格の取得や維持には学会への参加が必須ですが、ベルクラン薬学社は学会参加を奨励しており、専門資格取得には最適な環境が整っています。
こうした学会での交流を通じて、講演の依頼をいただくこともありました。例えば、石川県病院薬剤師会・石川県薬剤師会が開催する「YACREN 研究セミナー」で、「薬薬連携」について薬局薬剤師の立場からお話する機会をいただきました。
40代以下の循環器医師有志によるメディカルスタッフ向けオンライン勉強会「心不全道場」では、多職種Web奨励検討カンファレンスのパネリストを2023年と2024年に務めさせていただいたこともあります。
調剤薬局の新たな役割と職場環境
これからの調剤薬局は、単に調剤を行う場ではなく、疾患予防などの健康情報を適切に提供する拠点としての役割も求められています。そのため、各種認定資格の取得や対外活動への参加は、大きな強みになると考えています。
ベルクラン薬学社は、このような活動を積極的に奨励している数少ない会社であり、私は本当に恵まれた職場環境の中で、日々業務に励んでいます。
共に学び、必要とされる薬剤師を目指しましょう
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